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平成21年3月号より

平成20年度「日本陶磁協会賞」の選考委員会が、1月8日(木)午後4時半より銀座・和光並木館7階応接室にて開かれました。今回は、候補者として協会賞40名、金賞23名の推薦を下記の推薦者よりいただきました。

推薦者は、石崎泰之・和泉周一・井上隆生・梅田稔・榎本徹・大樋長左衛門・小野公久・加藤清之・黒田耕治・嶋田建治・正村美里・白田豊・杉山道夫・鈴木藏・竹田博志・外舘和子・中里逢庵・中島宏・橋本龍史・花里麻里・林屋晴三・福島建治・柳原睦夫・山本真由美・渡部誠一の各氏。

今回、推薦者として新たに加わったのは、日本工芸会から鈴木藏氏・中島宏氏、日展から中里逢庵・大樋長左衛門氏、無所属から加藤清之氏・柳原睦夫氏の6名。ギャラリー関係からは橋本龍史氏に参加していただきました。協会賞の推薦の数が40名(昨年は24名)と多いのは、そのせいもあるかと思われます。

重要無形文化財保持者に認定されている作家の名前も推薦にあがる場合もありますので、すでに保持者として認定され、かつ金賞受賞者でもある鈴木・中島の両氏に伝統工芸展を中心に推薦していただくことにいたしました。藝院会員の中里・大樋の両氏には日展を中心に、無所属の加藤・柳原の両氏には工芸会・日展に関係なく自由な立場から推薦していただきました。

12月初めに、候補者の略歴と推薦理由および資料を付して選考委員(梅澤信子・金子賢治・唐澤昌宏・黒田和哉・中ノ堂一信・西田宏子・長谷部満彦・宮島格三・弓場紀知・森孝一)に送りましたところ、次の方々が候補者として残りました。

点数の高い順に示しますと、金賞候補は加藤孝造・深見陶治・三輪休雪・中里隆・北出不二雄・川瀬忍・小川待子・酒井田柿右衛門・平川鐵雄・佐藤敏・前田昭博・森野泰明の以上12名。協会賞は今泉今右衛門・前田正博・加藤委・小池頌子・中島晴美・杉浦康益・福島善三・内田鋼一・兼田昌尚・小松誠・高垣篤・塚本満・宗像利浩の以上13名。

選考委員会当日の出席者は、梅澤・金子・唐澤・黒田・中ノ堂・宮島・弓場・森の8名。西田・長谷部の両氏は欠席。吉田氏は病気静養中のため、今回はお送りいたしませんでした。

金賞候補につきましては、一位の加藤孝造氏と深見陶治氏が同点、二位の三輪休雪氏と三位の中里隆氏が一点差でしたので協議の結果、この4名で再選を行うこととなりました。結果、加藤氏が他の3名を引き離して金賞を獲得されました。推薦の段階では三輪・深見の両氏がトップを争い、次いて伊藤慶二・加藤・中里・小川待子の各氏が続いていました。トップの三輪・深見両氏に対して、加藤・中里両氏の頭角は、伝統の技をいま一度見直そうという協会理事の意図が選考(選考委員10名中6名が理事)に反映したのかも知れません。実力からいえば、三輪・深見・伊藤の三氏も金賞にふさわしい候補でありますし、とくに伊藤氏の地域への貢献度は大きいといえましょう。

因みに、加藤氏の推薦理由は「伝統的手法による志野・瀬戸黒・黄瀬戸など美濃陶の今日的表現探究とそのすぐれた成果に対して」「近年の個展活動および風塾での若手作家養成活動」ということでした。加藤氏の直向きな作陶姿性に加えて、こうした地元の声、伝統の技をもう一度見直そうという協会理事らの意向が重なって、加藤氏の点数が高くなったのではないかと思われます。

金賞は、陶芸界において大きな足跡を残された作家、およびすでに協会賞を受けられた作家の活動に対して贈られる賞ですが、加藤氏の陶歴および業績をあげると次のようになります。

1935年岐阜県瑞浪生まれ。1953年岐阜県陶磁器試験場にて加藤幸兵衛に師事、のち荒川豊藏に陶技をならう。1955年岐阜県陶磁器試験場主任技師。1959年「現代日本陶芸展」第三席。1962年「日本伝統工芸展」初入選、(68年優秀賞)。1963年「朝日陶芸展」入賞、(67年優秀賞)。1966年日本工芸会正会員。1985年日本陶磁協会賞、岐阜日々新聞社賞「教育文化賞」。1990年美濃陶芸協会会長。1994年東海テレビ文化賞、多治見市役所ロビーに陶壁「濤」制作、1995年瑞浪小学校ロビーに陶壁「風魂」制作、岐阜県重要無形文化財「志野、瀬戸黒」保持者認定。1998年岐阜県芸術文化顕彰、中日文化賞。1999年陶房に古民家を移築し「風塾」を創設。2002年織部賞。2005年地域文化功労者文部科学大臣表彰。2007年紺綬褒章等々である。

協会賞候補につきましては、一位が今泉今右衛門、二位が前田正博、三位が加藤委、四位が小池頌子の各氏で、それぞれ1点、2点の差で順位が続いていましたので、協議の結果、この4名で再選を行うこととなりました。しかし、順位が小池・前田・加藤・今泉と逆転しただけで、その点数の差は微妙なままでした。そこで、さらに協議を重ねた結果、作品的にも一番安定しているベテランの小池頌子氏に協会賞を送ることで全員一致となりました。惜しくも賞をのがした三氏については今後の展開を見守ることとなりました。今泉氏は2008年MOA岡田茂吉賞工芸部門優秀賞受賞、加藤氏は伝統的な青白磁を現代陶の世界に独自に造形表現する若年のホープ、共に47歳と同じ歳です。前田氏は独特の釉彩(洋彩)による加飾で知られるベテラン作家。昨年まで協会賞を争った杉浦康益氏とは東京芸大の同学年とのこと。

因みに協会賞に決まった小池頌子氏の推薦理由は「群を抜く実力派」「用を捨てない造形的器に優れた作品がある」というもの。小池氏の陶歴は次の通り。1943年北京に生まれる。1969年東京藝術大学大学院陶芸専攻修了、東京都多摩市に築窯。1986年「林屋晴三が訪ねる女性陶芸家」(大阪なんば高島屋)。1993年「Modern Japanese Ceramics in American Collection」(ニューヨーク)。1994年「魅惑の現代陶芸─用の否定と肯定」(草月美術館)。1995年「陶芸の現代─発信する器」(高島屋・日本橋、京都)1996年「現代陶芸の若き騎手たち」(愛知県陶磁資料館)。1998年「八木明・小池頌子二人展」(ニューヨーク)、「かたちの領分─機能美とその転生─」(東京国立近代美術館)。2003年「現代陶芸・14人の尖鋭たち─TOSA TOSA2003 柳原睦夫と現代陶芸の尖鋭たち─現代陶芸の系譜」(高知県立美術館)。「韓国陶磁器EXPO世界ビエンナーレ」(韓国)。「Japanese Ceramics Today Part1,2」(菊池寛実記念智美術館)。2005年「Contemporary Clay - Japanese Ceramics for the New Century」(ボストン美術館)。2006年「TOJI」(フランス国立セーブル美術館、フランス)、現代陶芸の粋─東日本の作家を中心に」(茨城県陶芸美術館)。「智美術館大賞 現代の茶陶展」優秀賞。2007年「群青の彼方から 小池頌子展」(菊池寛実記念智美術館)。「魅せられる…今、注目される日本の陶芸展」(巡回展)。

平成21年度の会員のための陶磁研究会を次のように開催いたします。
    [3月研究会]
    「フランスのみた東洋陶磁」
    場所 ポーラ美術館
      (神奈川県足柄下郡箱根町千石原小塚山1285 電話0460-84-2111)
    日時 3月7日(土)午後1時30分より(入館料のみ、参加費無料)
    講師 繭山龍泉堂・川島公之氏


    アンリ・リヴィエールは、日本の浮世絵に強い影響を受けたフランスの版画家として知られていますが、自身、東洋美術の熱心な蒐集家でもありました。またリヴィエールは、当時のパ リを中心とした東洋陶磁コレクションの図録『極東美術の陶磁』(1923年刊)に掲載されてい る全ての作品図版を自ら撮影しています。本展では、この図版を当館の収蔵作品と併せてご紹 介致します。また19世紀の中国陶磁コレクションの集大成といえる、エルネスト・グランディディエによる所蔵品図録も併せて紹介いたします。
    なお、3月8日(日)まで、「佐伯祐三とフランス─ヴラマンク、ユトリロ、日本の野獣派」展も開催されておりますので、合わせてご覧ください。
    [4月研究会]
    「食を愉しむ〜鉢・皿・向付〜」
    場所 サンリツ服部美術館
      (長野県諏訪市湖岸通り2-1-1 電話0266-57-3311)
    日時 4月4日(土)午後2時より(入館料のみ、参加費無料)
    講師 同美術館学芸員・宇野千代子氏+森孝一


    本展では、桃山から江戸時代前期に製作された陶磁器を中心に、懐石やもてなしのための食器が展示される。その内容は、同館所蔵の織部・志野・黄瀬戸・唐津・高取・上野・伊万里の鉢・皿・向付をはじめ、中国の青花 や五彩(染付・赤絵・錦手・金欄手)の優品である。
参加ご希望の方は電話もしくはFAXで日本陶磁協会事務局(TEL.03-3292-7124/FAX.03-3292-7125)までお申し込みください。

なお3月、4月研究会は、現地集合現地解散です。参加申し込み者には、追って地図等のご案内をお送りいたしますので、ご参考にしてください。

陶芸家・川瀬忍氏の「Flowering Waves of Celadon」(華青波)個展が3月14日(土)から4月17日(金)までニューヨークの「Joan, B. Mirviss Ltd」で開催される。また「川瀬忍 酒器展─吟上のうつわ─」が4月2日(木)から5日(日)まで「アートフェア東京」有楽町国際フォーラムにて、4月11日(土)から16日(木)まで銀座黒田陶苑にて開催される。

越前の陶芸家「三好建太郎作陶展」が3月11日(水)より17日(火)まで、京都高島屋6階美術画廊で開催される。

昨年10月23日に亡くなられた、石洞美術館理事長・千住金属工業元会長の佐藤千壽氏のお別れの会が2月3日午前11時30分より午後1時までホテルニューオータニの本館「芙蓉の間」にて行われました。現在、石洞美術館では佐藤氏の随筆集『やきもの歳時記』に採り上げられたやきもの60点が展示され、蒐集家としての佐藤氏を偲ぶ展覧会が開催されている(4月5日まで)。

瀬戸市の県立窯業高等技術専門校の指導員・二十歩文雄氏が3月、中国・江西省景徳鎮市の景徳鎮陶瓷学院に、初の日本人客員教授として赴任する。二十歩氏(61)は、「両国の陶磁器業界のパイプ役として、国際交流を進めたい」と意欲を見せている。なお、中日新聞(1月31日付)では「同学院は日本の大学に当たり、芸術学部、文・理学部などがあり、学生数は約四千人という。二十歩さんは芸術学部に所属し、技術指導や日中陶芸比較論などを手がける予定。二十歩さんの赴任を機に、希望する国内の陶芸家らが同学院で陶芸を学ぶプログラムも計画されている。」とある。

2007年、国立西洋美術館で「祈りの中世─ロマネスク美術写真展」を開催した写真家の六田知弘氏の写真展「シトーの光」が、3月7日(土)まで京橋の繭山龍泉堂で開催されている。シトー派の修道院をテーマにした、厳粛で静謐な美の世界である。「シトー会の教会堂には彫刻装飾がない。それは、クリュニュー会の贅沢さを痛烈に批判し、清貧を極限まで課したシトーの慣例規制が、建築から装飾を排除したからだ」(ダーリング常田益代、ル・トロネ修道院(フランス)のテキストより)。その石と光と比例の織りなす厳格な美しさは、飽食の時代の中にある現代人に新鮮な衝撃を与えることだろう。六田氏の写真とともに、束洋古陶磁も展示される。(繭山龍泉堂 東京都中央区京橋2-5-9 電話03-3561-5146)

平成20年5月に変更し、10月15日に文部科学省より認可となりました新定款を本紙巻末に記載いたしましたので、お目通し下さい。なお、3月初め、3月定期総会の委任状がお手元に届くと存じます。届きましたら、必ずご署名、ご捺印の上、ご返送くださいますようお願い申し上げます。事務局より