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平成20年4月号より

平成19年度「日本陶磁協会賞」の選考委員会が、2月4日(月)午後1時半より目本橋・壺中居2階応接室にて開かれました。今回は、候補者として協会賞24名、金賞21名の推薦を、下記の推薦者よりいただきました。
推薦者は、石崎泰之・和泉周一・乾由明・井上隆生・梅田稔・榎本徹・小野公久・黒田耕治・嶋田建治・正村美里・杉山道夫・竹田博志・外舘和子・花里麻理・林屋晴三・福島建治・藤慶之・南邦男・山本真由美・渡部誠一の各氏。
従来、協会賞の選考委員は研究者・業者・コレクターの三者によって構成されてきましたので、推薦者も学芸員・評論家・ジャーナリスト・ギャラリー関係者のほか、コレクターの方にも参加していただきたいと一昨年より考えておりましたがいまだ検討中、来年はなんとか推薦者を決めたいと思います。

1月初旬に、候補者の略歴と推薦理由およぴ資料を付して、選考委員(梅澤信子・金子賢治・唐澤昌宏・黒田和哉・中ノ堂一信・西田宏子・長谷部満彦・宮島格三・弓場紀知・吉田耕三・森孝一に送りましたところ、次の方々が候補者として残りました。

点数の高い順に示しますと、金賞候補は鯉江良二・深見陶治・栗木達介・森野泰明・古川章蔵・三輪休雪・今井政之・平川鐵雄・吉田喜彦・中里逢庵・滝口和男・神谷紀雄の以上12名。協会賞は三原研・杉浦康益・兼田昌尚・加藤委・今泉今右衛門・中島晴美・内田鋼一・加藤高宏・西端正・木村芳郎・澤清嗣・小池頌子・近藤高宏・新里明士・福島善三の以上15名。

選考委員会当日の出席者は、梅澤・金子・唐澤・黒田・宮島・森・弓場の7名。中ノ堂・西田・長谷部の三氏は欠席、吉田氏は今回は病気静養中のため棄権とのことでした。

金賞候補につきましては、一位の鯉江良二氏が二位の深見陶治・三輪休雪の両氏を引き離して高い点数を獲得されましたので、協議の結果再選は行わず、出席者の全員一致で鯉江氏の金賞と決まりました。因みに、鯉江氏は推薦でも一位でした。昨年の加藤清之氏に続いて、愛知県で二人目の金賞受賞者です。

協会賞につきましては、推薦の段階では一位三原研氏、二位杉浦康益氏、三位今泉今右衛門氏・加藤委氏の順でしたが、一位二位の差は僅かで今年も接戦が予想されました。この二人については、作品の内容、今後の展開などについて討議した上で再選となりました。結果、三原氏が杉浦氏を引き離して点数を獲得されました。

今回、金賞に選ばれた鯉江氏の推薦理由は、「益々精力的な活動をしている。土に対する取り組み方は、常に示唆に富み、改めてその足跡を考えてみたいと思わせる作家である」「一昨年暮れの韓国での個展では、その後の鯉江良二ならではの世界を見せてくれた。来年早々の紙の展覧会も楽しみ」「韓国における個展など海外での積極的活動に対して」などでした。

金賞は、陶芸界において大きな足跡を残された作家、およびすでに協会賞を受けられた作家の活動に対して贈られる賞ですが、鯉江氏のこれまでの業績をあげると、再生用に細かく砕いた陶屑を砂山に盛り上げ、頂上に自らのライフマスクを型どりした昭和46年の「土に帰る」、また話題と多くの共感を呼んだ「証言─ミシン」「ノーモア広島・長崎」「チェルノブイリシリーズ」などの反核の思いを訴える作品があげられます。その一方で、イギリス、アメリカ、スペイン、イスラエル、韓国、オーストラリアなどで現地制作を行い、しかも、現地での個展の収益は「鯉江スカラーシップ(基金)」として、日本への留学制度に活用されています。こうした海外での鯉江氏の活動には、目覚しいものがあります。

国内においても、愛知県立芸術大学教授として学生に陶芸を指導。2006年には、兵庫陶芸美術館の招聘作家第一号として丹波の土で制作発表。その既成の概念に囚われない白由な発想で、様々な土から受けたひらめきを形にし、陶の新たな可能性を追求されています。その陶芸家としての姿勢と作品を評価して、この度「金賞」が贈られることになりました。

協会賞の三原研氏の推薦理由は、「焼成後、化粧をはぐという手法による土肌と神器のたたずまいかのような独得の造形による」「剛健でしかも簡朴な独自な作風をもつ作家」「独自の焼成法による発色の妙と古朴な味わいのなかに斬新、モダンな造形感覚」「現代における焼締めによる造形に非凡な手腕を示している」などでした。

その年の最も優秀な作家に対して贈られる目本陶磁協会賞ですが、推薦理由にもあるように三原氏の作品は「独自の焼成法による発色の妙と古朴な味わいのなかに斬新、モダンな造形感覚」の光ったものです。これらの作品は、地元の鉄分の多い赤土を使って手びねり成形し、これを素焼した後に珪石を水で溶いたものを掛けて約40時間、1270度で還元焼成し、焼成後に珪石で覆われた膜を削り取るとブルーグレーに発色した地肌が現われる。その土の表情を超える鉱物的質感こそ、三原作品の特徴ですが、その鉱物的質感と斬新でモダンな造形が一体化し、様々なかたちの作品を生み出しています。とくに、イタリア研修帰国後に発表した造形作品は、より洗練された魅力あるものとなっています。大地にしっかり足をつけ、やきものの本質を見すえながら、しかも斬新でモダンな造形作品に挑戦するその真摯な姿勢を評価して、 「日本陶磁協会賞」が贈られることになりました。


鯉江良二(金賞)
1938年愛知県常滑市に生まれる鯉江良二
1957年愛知県立常滑高等学校窯業科卒業。
日本タイルブロック社に入社。
1961年常滑市立陶芸研究所に入所
1962年「現代日本陶芸展」入賞(朝日新聞社主催)
1963年「朝日陶芸展」入賞。64、66、67、68、69年にも入賞。
1966年独立する
1970年「前衛陶芸展」出品(アメリカ・スクリップス大学企画)
1971年「土に帰る」発表。「現代の陶芸─アメリカ・カナダ・メキシコと日本」展出品(京都・東京国立近代美術館)
1982年「現代陶芸─いま土と炎でなにが可能か展」出品(山口県立美術館)
1983年「現代日本造形展」出品(スイスのジュネーブ市・ラッツ現代美術館)
1986年「工芸・世紀末の旗手たち」展出品(サントリー美術館)。
「前衛芸術の日本1910〜1970」展出品(フランス・ポンピドゥ・センター)
1989年「ユーロパリア89ジャパン 昭和の陶芸─伝統と革新展」出品(ベルギー)
1990年「チェルノブイリ・シリーズ」を発表
1991年インターナショナル・セラミック・フェスティバル(イギリス)に招待参加。
「工房探訪・つくる「美の匠」展」(NHK主催)
1992年愛知県立芸術大学教授に就任。「日本の陶芸『今』100選展」出品(NHK主催)
1993年日本陶磁協会賞受賞。
「現代陶芸うつわ考展」出品(埼玉県立近代美術館)。
スペインにて現地制作、二人展開催(ジロナ、ガレリア・カラマニー)
1994年『鯉江良二作品集』(講談社刊)
「国際現代陶芸展・今日のうつわと造形展」出品(愛知県陶芸資料館)
1995年イスラエルにて現地制作。個展開催(チィコチィン美術館)。
「戦後文化の軌跡1945〜1995展」出品(目黒区立美術館ほか)
1996年「今日の造形─鯉江良二展≪地→人≫(岐阜県美術館)。
韓国にて現地制作。
二人展開催(釜山KBSギャラリー)。
「磁器の表現展」出品(東京国立近代美術館)。
「今日の日本美術展」出品(ルフィノ・タマヨ美術館 メキシコ)
2001年織部賞受賞
2003年「大地の芸術─クレイワーク新世紀─」出品(国立国際美術館大阪)。
「織部─転換期の日本美術」出品(メトロポリタン美術館 アメリカ)
2004年「MINO CERAMICS NOW 2004」出品(岐阜県現代陶芸美術館)
2005年中日文化賞受賞
2006年Stealing God's Fire(亜洲美術館 韓国)
2008年日本陶磁協会賞金賞受賞

三原研(協会賞)
1958年島根県に生まれる三原研
1981年船木研児氏に師事
1985年島根県展工芸連盟賞受賞
1986年山陰工芸展奨励賞(’87、’88)受賞
1988年日本伝統工芸中国支部展知事賞(’93)受賞
1992年茶の湯の造形展奨励賞〔02・03・04に奨励賞、95・05・06年に優秀賞、01・08年に大賞)受賞
1995年BONSAIの器展奨励賞受賞
2002年「国際現代陶芸展」出品(台北縣立鶯歌陶磁博物館 台湾)。
「現代陶芸の100年」出品(岐阜県現代陶芸美術館)
2003年作品集「出雲風陶記」(コエランス刊)
2005年第一回菊池財団海外研究助成金によりイタリア滞在(〜2006)
2006年第一回パラミタ陶芸大賞展準大賞(パラミタミュージアム 三重)。
第一回智美術館大賞「現代の茶陶─造形の自由と用の見立て」出品(菊池寛実記念智美術館)。
「Asian Ceramic Delta-Japan, Korea, and Tiwan」出品(韓国・台湾・日本 〜2007)
2007年「現代陶芸への招待─日本とヨーロッパ─」出品(兵庫陶芸美術館)
2008年COLLECT出品(V&A美術館 イギリス)
日本陶磁協会賞受賞


5月10日(土)の東茶会において、日本陶磁協会が懸釜を担当することになりました。
    濃茶席 (社)日本陶磁協会本部
    薄茶席 (社)日本陶磁協会本部
    点心席  辻留
    場 所  東京美術倶楽部(港区新橋6-19-15 電話03−3432-0191)
    日 時  5月10日(土)午前10時より午後4時まで。
当協会員に限り臨時会員として100名まで受け付けます(同伴可)。会費は2万円。お申し込み方法は、お名前、ご住所、電話番号、会員番号をご記入の上、日本陶磁協会(〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-9 TEL.03-3292-7124 FAX.03-3292-7125 E-mail. tosetsu@j-ceramic.jp)まで電話・FAX・郵便・メールでお送りください。折り返し、振込用紙をお送りいたします。

平成20年の会員のための陶磁研究会を次のように開催いたします。
    [4月研究会]
    「柿右衛門と鍋島─肥前磁器の精華」
    場所 出光美術館・レクチャールーム
       (千代田区丸の内3-1-1 電話03-3213-9402)
    日時 4月25日(金)午前10時30分より
    講師 同美術館学芸員・金沢陽氏(入館料のみ・参加費無料)
    定員 30名


    柿右衛門は肥前の民間の窯により主に西欧向けに輸出された高級器で、彼の地の王侯貴族の城や邸宅を美しく飾りました。一方の鍋島は、佐賀藩主の鍋島家から徳川将軍家などへの献上品として、その威信をかけて特別につくられたうつわでした。鍋島の格調高い絵文様は、他の窯の追随を許しません。本展では、出光コレクションを中心に特別出品の名品も交えて、肥前磁器の精華が展示されます。

    [5月研究会]
    「数寄の玉手箱 三井家の茶箱と茶籠」
    場所 三井記念美術館・レクチャールーム
       (中央区日本橋室町2-1-1三井本館7階 電話03-5255-5866)
    日時 5月27日(火)午前10時30分より
    講師 同美術館学芸課長・清水実氏(入館料のみ・参加費無料)
    定員 50名


    三井家の茶箱と茶籠を、草花図・山水図などの襖絵・屏風絵などとともに展示し、野外での喫茶の雰囲気を演出した楽しい展示空間。三井家伝来の茶箱・茶籠約30点を一堂に展示するのは今回が初めてです。

    [6月研究会]
    「やきもの文化講座・乾山の器」
    場所 NHK青山荘(港区南青山5-2-20 電話03-3400-3111)
    日時 6月28日(土)午後1時30分より
    講師 武内範男氏(参加費3,000円)
    定員 100名


    春の「やきもの文化講座」は元・畠山記念館主任学芸員の武内範男氏に、尾形乾山の作品の魅力について語っていただきます。乾山の器と料理の相性など興味深い話が聞けそうです。

    参加ご希望の方は電話もしくはFAXで日本陶磁協会事務局(TEL.03-3292-7124/FAX.03-3292-7125)までお申込みください。
    また、6月の研究会「やきもの文化講座」については、追って振替用紙をお送りいたします。

第16回MOA岡田茂吉賞が下記の通り決定されました。
    絵画部門大賞 松本哲男氏(日本画)日本美術院
    絵画部門優秀賞 長沢明氏(日本画)無所属
    工芸部門大賞 増村紀一郎氏(漆工)日本工芸会
    工芸部門優秀賞 今泉今右衛門氏(陶磁)日本工芸会
なお、第16回MOA岡田茂吉賞展は6月10日(火)から7月21日(月)まで、MOA美術館(熱海市桃山町26-2 電話0557-84-2511)にて開催されます。

松江支部の春の行事が5月25日(日)午後2時から松江市内「サンラポーむらくも」にて開催される。支部総会の後、2時30分より2時間余り「生活と骨董─青山二郎・小林秀雄・白洲正子を中心に─」について、日本陶磁協会主任研究員・森孝一氏の講演がある。講演は、三人の所蔵品をスライドによって触れ、その鑑賞眼と人生との関わりを聴講する。参加費は、会員2,000円、会員外2,500円。なお、講演後の懇親会では新旧のぐい呑みを展示し、その魅力について研鑽する。お問い合せは、松江支部事務局・目次(電話0852-26-2211 田部美術館内)まで。

文化庁は2月29日(金)、2007年度の芸術選奨文部科学大臣賞を発表した。その「美術」の部に、陶芸家の小川待子氏と美術家の森村泰昌氏が選ばれた。贈呈式は3月10日(月)ホテルニューオータニ東京で行われ、賞状と賞金30万円が贈られた。