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「日本陶磁協会賞」は、毎年その年の尤も優秀な焼物を作った新進の作家、二名乃至三名を選んで表彰しようとの加藤土師萌氏の提案によって、昭和29年初春に制定されたのが始まりです。第一回の受賞者は清水卯一氏と熊倉順吉氏でした。
そして、昭和34年に受賞作家11名により「日本陶磁協会賞受賞作家展」が開催されました。
さらに昭和48年より、新進ということにこだわりなく、その年の最も優秀な作家に対して「日本陶磁協会賞」が、また陶芸界に大きな足跡を残したベテラン作家および、すでに協会賞を受賞した作家の活動に対し、「金賞」を授与することを決議し、現在に至っています。ちなみに、第一回の金賞受賞者は八木一夫氏でした。(歴代作家参照)
また毎年1月には、和光ホール(銀座・和光)にて「日本陶磁協会賞受賞作家展」を開催いたしております。
なお、日本陶磁協会賞についての詳しいお問い合わせは、社団法人日本陶磁協会・事務局までご連絡下さい。


■平成26年度 日本陶磁協会賞・金賞受賞者選考結果報告

    平成26年度 日本陶磁協会賞神農 巌
    平成26年度 日本陶磁協会賞金賞隠﨑隆一

平成26年度「日本陶磁協会賞・金賞」の選考委員会が2月11日(水・祝)午後3時より、銀座・和光本館6階会議室にて開かれました。今回は、候補として協会賞64名、金賞38名の推薦を50名の推薦委員よりいただきました。候補者の数は、昨年より協会賞は3名、金賞は3名と若干少なめでしたが、本賞の意義である「1つのジャンルに固執することなく陶芸界全体に目を配り、その年の最も優秀と思われる作家に日本陶磁協会賞を、さらに永年に渡り作陶および教育等に貢献されてきたベテラン作家に金賞を授与し表彰することによって、陶芸文化および芸術を振興することを目的」に美術館・博物館の学芸員、美術ジャーナリスト、ギャラリー関係者、陶芸作家(金賞受賞作家)など専門の方々より推薦をいただきました。

その結果、協会賞候補は(推薦の多い順に示しますと)、重松あゆみ(9名)、神農巌(7名、金賞にも推薦者1名)、石橋裕史(6名)、猪倉高志、新里明士(以上4名)、金重愫、川崎毅、髙垣篤、中村康平、山田晶(以上3名)、伊藤秀人、稲崎栄利子、井上雅之、植葉香澄、内田鋼一、木村芳郎(金賞推薦者1名)、黒田泰蔵、近藤高広、酒井博司、長江重和(以上2名)、石山哲也、泉田之也、伊藤慶二(金賞推薦者4名)、伊藤正、伊藤みちよ、岡本作礼、奥村博美、小塩薫、小野隆治、加藤清和、兼田昌尚、かのうたかお、川口淳、川端健太郎、北川宏人、久保田厚子、五味謙二、笹山忠保(金賞推薦者1名)、島武己、鈴木徹、高野好子、田中佐次郎、辻村史朗(金賞推薦者1名)、寺本守、戸田守宣、富田美樹子、中尾恭純、中里重利、十四代中里太郎左衛門、中村清吾、中村卓夫、西村陽平、野坂和佐、林茂樹、原憲司、原田隆子、増田敏也、桝本佳子、見附正康、室伏英治、森正、山田和、山野千里、米田和(以上1名)。

右の一覧でも分かる通り、重松あゆみ、神農巌、石橋裕史の3名が上位を占めておりましたが、選考委員に候補者の陶歴、推薦理由および作品の写真など資料を付して送りました結果、次の方々が候補者として選ばれました。点数の高い順に示しますと、協会賞候補は神農巌(19点)、重松あゆみ(14点)、黒田泰蔵(6点)、石橋裕史(5点)、久保田厚子(3点)、伊藤秀人、中村康平(以上2点)、内田鋼一、五味謙二(以上1点)でした。 三位以下を大きく引き離した上位2名の過去4年間の推薦状況を見ますと、平成25年度は重松氏が8名、神農氏が5名、平成24年度は重松氏が7名、神農氏が5名、平成23年度は神農氏6名、重松氏が4名、平成22年度は重松氏が5名、神農氏が1名でした。重松氏がやや優位ながら、神農氏と順位を入れ替えながら、お二人はこれまで常に上位の有力候補でした。今回の選考で、神農氏に多くの点が入った理由は、2011年の第58回日本伝統工芸展において「堆磁線文鉢」が日本工芸会会長賞を受賞、2012年には紫綬褒章を受章、2013年には滋賀県指定無形文化財保持者の指定といった、近年の目覚ましい業績に追うところが大きかったと思われます。なお、重松氏は今回推薦ではトップでしたので、過去のこれまでの推薦状況もふまえますと次回候補としては最も有力と思われます。

神農氏の推薦理由は、「滋賀県無形文化財に認定されるなど日本伝統工芸展や個展を中心に充実した活動を展開している。」「巧緻を極めた堆磁の加飾が魅せる有機的な動勢が美しい。清々しい釉調と相俟って独自の叙情性を現出させている。」など多くの推薦が寄せられました。

重松氏の推薦理由は、「立体的に渦をまく造形と濃淡のぼかし(グラデーション)の完成度が高まり、妖艶ただよう作品は他の追随を許さない。」「観るものの本能を揺さぶることができるたぐいまれなる才能を持つ陶芸家である。」など多数でした。

上位2名について、選考委員会にて協議の結果、全員一致で神農氏に協会賞を贈ることに決定いたしました。

平成26年度 日本陶磁協会賞 神農 巌
1957年京都府に生まれる
1981年京都市立工業試験場窯業本科 修了
1982年京都府立陶工職業訓練校 卒業
1983年京都市立工業試験場窯業専攻科 修了
1987年滋賀県大津市に築窯し独立
1992年現代京都美術工芸展招待出品(京都府京都文化博物館)
1994年京都工芸ビエンナーレ1994展優秀賞受賞
1995年「滋賀の工芸・伝統のやきもの」展 招待出品(滋賀県立近代美術館)
2002年世界巡回展「現代陶磁器展」招待出品(出品作買い上げ 外務省国際交流基金)
2003年「現代韓日陶芸」展 招待出品(錦湖美術館・ソウル市)
第17回日本陶芸展入選(出品作買い上げ 兵庫陶芸美術館)
2004年第33回日本伝統工芸近畿展 滋賀県教育委員会長賞受賞
2005年第1回菊池ビエンナーレ優秀賞受賞(菊池寛実記念 智美術館)
「湖国を彩るやきもの」出品(滋賀県立陶芸の森)
2006年 第53回日本伝統工芸展入選(出品作買い上げ 宮内庁)
第35回日本伝統工芸近畿展 滋賀県教育委員会長賞受賞
2007年「素材×技術からフォルムへ」展出品(茨城県つくば美術館・ギャラリーヴォイス)
「現代陶芸への招待 ー日本とヨーロッパー」展出品(兵庫陶芸美術館)
2009年第56回日本伝統工芸展 朝日新聞社賞受賞
2010年京都市立芸術大学工芸科非常勤講師(〜2013年)
2011年「現代陶芸の地平を拓く」展出品(兵庫陶芸美術館)
第58回日本伝統工芸展 日本工芸会会長賞受賞
2012年アーティスト・イン・レジデンス招待(滋賀県立陶芸の森)
紫綬褒章受章
大津市文化特別賞受賞
綾部市篤志者受章
第7回パラミタ陶芸大賞展大賞受賞
2013年第23回秀明文化賞受賞
滋賀県無形文化財保持者認定
「新時代のやきものへの挑戦!」展出品(滋賀県立陶芸の森)
「日本伝統工芸展60回記念 工芸からKOGEIへ」展出品(東京国立近代美術館 工芸館)
2014年「わざの美ー現代日本の工芸」展出品(外務省国際交流基金・シンガポール)
「MOA岡田茂吉賞」展出品(MOA美術館)
「青磁のいま─受け継がれた技と美 南宋から現代まで」出品(東京国立近代美術館 工芸館)
2015年「菊池寛実賞 工芸の現在」展出品(菊池寛実記念 智美術館)
マイヤーガーデン買い上げ(アメリカ ミシガン州)

金賞候補を推薦の多い順に示しますと、隠﨑隆一(7名)、秋山陽(6名)、中島晴美(5名)、伊藤慶二(協会賞推薦者1名)、小川待子、金子潤、中村錦平(以上4名)、伊藤赤水、竹中浩、林康夫、前田昭博(以上3名)、伊勢﨑淳、中里隆、三原研、宮永東山、三輪和彦(以上2名)、伊藤公象、十四代今泉今右衛門、金重晃介、金重有邦、神谷紀雄、木村芳郎(協会賞推薦者2名)、八代清水六兵衛、高鶴元、佐伯守美、栄木正敏、笹山忠保(協会賞推薦者1名)、佐藤敏、神農巌(協会賞推薦者7名)、滝口和男、竹腰潤、田嶋悦子、辻村史朗(協会賞推薦者1名)、皆川典子、八木明、山内紅子、大和保男、吉田美統(以上1名)。

右の一覧の通り、今回は隠﨑隆一、秋山陽、中島晴美の順になっていますが、選考委員に候補者の陶歴、推薦理由および作品の写真など資料を付して送りました結果、金賞候補として次の方々が選ばれました。点数の高い順に示しますと、隠﨑隆一(12点)、秋山陽(9点)、伊藤慶二(6点)となります。上位3名の過去4年間の推薦状況を見ますと、 平成25年は秋山氏が5名、伊藤氏が5名、隠﨑氏が3名、平成24年は伊藤氏が3名、秋山氏が2名、隠﨑氏が1名、平成23年は伊藤氏が3名、隠﨑氏が1名、秋山氏が1名、平成22年が隠﨑氏が2名、秋山氏が2名、伊藤氏は推薦なしでした。 隠﨑氏が今年度に推薦を一挙に増やした理由として、昨年隠﨑氏の作品の全貌を紹介した菊池寛実記念智美術館で開催の「隠﨑隆一 事に仕えて」展での評価が大きいと思われます。今年になり第56回毎日芸術賞も受賞されています。

隠﨑氏の推薦理由は、「備前焼の伝統生を表象してきた素材「土」を捉え直し、制作プロセスにおいて産地の歴史的個性を追求する造形思考はじつに壮大。独自の詩的造形を創出してきた。智美術館での個展はすばらしかった。」「今までにない備前の陶芸の表現を作り上げた造形力や感性は、現在の備前にとどまらず陶芸全体に大きく影響を与え続けている。」など多くの推薦が寄せられました。

秋山氏の推薦理由は、「土による造形表現の可能性を、壮大なスケール感で広めた功績は大きい。」「益々充実した制作活動を展開しており、近年は作風の成熟がみられる。現代における陶表現の豊穣が端的にうかがえる仕事である。」など多数寄せられました。

伊藤氏の推薦理由は、「2013年8月〜2014年1月まで岐阜県現代陶芸美術館にて個展を開催。新たな「NAGASAKI」のシリーズを展開。そののち名古屋市のギャラリーにおいて、閉じた器のシリーズとエロチカのシリーズを発表。70代半ばを超えてなお常に変化し続ける氏の制作活動にはまさに脱帽のひとこと。」「クラフトから造形に至る幅広い仕事で旺盛になお新機軸を発表し、社会的メッセージを含め、確かな自己の道を歩む活動などによって。」「メッセージ性のつよい造形作品を数多く制作。土に即した造形と制作の姿勢に媚がない。クラフト運動初期の頃から優れた器を発表してきた美濃地区のクラフトの草分け的存在。」など多く寄せられました。

上位3名について、選考委員会にて協議の結果、全員一致で隠﨑氏に金賞を贈ることに決定いたしました。

平成26年度 日本陶磁協会賞金賞 隠﨑隆一
1950年長崎県福江市(五島列島・椛島)に生まれる
1973年大阪芸術大学デザイン科卒業
1976年岡山県備前市伊部に移る
1977年岩本修一氏に師事
1979年岡山県立備前陶芸センター修了
伊勢﨑淳氏に師事
1985年岡山県邑久郡長船町磯上に登り窯を築く
ニューヨークキッドモア美術大学客員参加
1986年独立。初窯を焚く。
一水会陶芸展一水会賞受章(1990年同賞受賞)
1987年「茶の湯の造形」展(田部美術館)優秀賞受賞(1993年同賞受賞)
1988年「茶の湯の造形」展(田部美術館)大賞受賞(1992年同賞受賞)
1990年日本工芸会正会員となる
1992年「日本の陶芸「今」100選展」出品(パリ/東京)
1993年草月会「花の器」展奨励賞受賞
1995年MOA岡田茂吉賞優秀賞受賞
1996年平成7年度日本陶磁協会賞受賞
1997年「備前焼・千年の伝統美」展出品(国立陶磁器美術館・フランス)
岡山県美術展 山陽新聞社大賞受賞。招待作家となる。
1998年個展「隠﨑隆一の仕事」展(伊丹市工芸センター)
1999年「The 1999 International Woodfire Conference」招待参加(アイオワ、アメリカ)
2002年「International Asia-Pacific Contemporary Ceramics Inbitattonal Exhibition」出品(台北県立陶磁博物館)
2003年「International Asian Art Fair」(N.Y.Joan.B. Mirviss Ltd)
2004年「現代陶芸の華」展出品(茨城陶芸美術館)
「Japanese Ceramics Today, Part I,II」出品(菊池寛実記念智美術館)
2005年「Contenporary Clay Japanese Ceramics for the New Century」展出品(ボストン美術館・アメリカ、2006年Japan Society・ニューヨーク巡回)
2008年第2回智美術館大賞「現代の茶陶」展出品、優秀賞受賞(菊地寛実記念 智美術館)
2009年第52回日本伝統工芸中国支部展 特別賞・金重陶陽賞受賞
2010年第3回とも美術館大賞展「現代の茶─造形の自由」(菊地寛実記念 智美術館)出品。「現代工芸への視点 茶事をめぐって」展出品(東京国立近代美術館)
2012年個展「Una Mistura展(中長小西)
2013年第55回岡山県文化奨励賞受賞
「現代の名碗」展出品(菊地寛実記念 智美術館)
「日本伝統工芸展60回記念 工芸からKOGEIへ」出品(東京国立近代美術館工芸館)
2014年第15回福武文化賞受賞
「隠﨑隆一 事に仕えて」(菊地寛実記念 智美術館)
2015年第56回毎日芸術賞受賞
第73回山陽新聞賞受賞


今回の選考委員は、赤沼多佳、伊藤嘉章、梅澤信子、唐澤昌宏、後藤康雄、竹内順一、戸田博、中ノ堂一信、根津公一、宮島格三、森孝一の11名でした。
推薦者は青山和平、石崎泰之、市川文江、乾由明、伊藤郁太郎、井上隆生、上西節雄、内田篤呉、梅田稔、榎本徹、小野公久、加藤清之、加藤孝造、川上智子、川瀬忍、岸桂子、黒田和哉、黒田耕治、桑山俊道、纐纈幾世、小西哲哉、小吹隆文、坂本直樹、下村朝香、正村美里、白田豊、杉山道夫、鈴木藏、鈴田由紀夫、大長智広、坪井明日香、外舘和子、中島宏、中林幸雄、橋本龍史、花里麻理、林屋晴三、深見陶治、福島建治、藤間寛、鈎真一、三浦努、三輪休雪、目黒仲良、森野泰明、安田尚史、柳原睦夫、山中英之、吉澤敬子、渡部誠一、以上50名でした。