陶磁協会賞とは
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「日本陶磁協会賞」は、毎年その年の尤も優秀な焼物を作った新進の作家、二名乃至三名を選んで表彰しようとの加藤土師萌氏の提案によって、昭和29年初春に制定されたのが始まりです。第一回の受賞者は清水卯一氏と熊倉順吉氏でした。
そして、昭和34年に受賞作家11名により「日本陶磁協会賞受賞作家展」が開催されました。
さらに昭和48年より、新進ということにこだわりなく、その年の最も優秀な作家に対して「日本陶磁協会賞」が、また陶芸界に大きな足跡を残したベテラン作家および、すでに協会賞を受賞した作家の活動に対し、「金賞」を授与することを決議し、現在に至っています。ちなみに、第一回の金賞受賞者は八木一夫氏でした。(歴代作家参照)
また毎年1月には、和光ホール(銀座・和光)にて「日本陶磁協会賞受賞作家展」を開催いたしております。
なお、日本陶磁協会賞についての詳しいお問い合わせは、社団法人日本陶磁協会・事務局までご連絡下さい。


■平成24年度 日本陶磁協会賞・金賞受賞者選考結果報告

    平成24年度 日本陶磁協会賞杉浦康益
    平成24年度 日本陶磁協会賞加藤 委

平成24年度「日本陶磁協会賞」の選考委員会が2月2日(土)午後3時より、銀座・和光本館6階会議室にて開かれました。今回は、候補者として協会賞50名、金賞32名の推薦を40名の推薦委員よりいただきました。

候補者の数は、昨年より協会賞は5名、金賞は2名と若干少なめでしたが、本賞の意義である「1つのジャンルに固執することなく陶芸界全体に目を配り、その年の最も優秀と思われる作家に日本陶磁協会賞を、さらに永年に渡り作陶および教育等を通して陶芸界に貢献されてきたベテラン作家に金賞を授与し表彰することによって、陶芸文化および芸術を振興することを目的」に、美術館・博物館の学芸員、美術ジャーナリスト、ギャラリー関係者、陶芸作家などの専門の方々より推薦をいただきました。

その結果、協会賞候補は(推薦の多い順に示しますと)、重松あゆみ(7名)、加藤委(5名、金賞にも推薦者1名)、神農巌(5名)、杉浦康益(4名)、猪倉高志・内田鋼一(以上、3名)、岡田裕・木村芳郎・黒田泰蔵・酒井博司・田中佐次郎・徳澤守俊・中田一於・西村陽平・平川鐵雄・福島善三(金賞推薦者1名)・山田晶(以上、2名)、青木清高・石田有作・石橋裕史・石原祥嗣(金賞推薦1名)・伊藤慶二(金賞推薦者3名)・稲崎栄利子・植葉香澄・大塚茂吉・金重榛・兼田昌尚・神谷紀雄・川端健太郎・河野榮一・高垣篤・竹之内彬裕・辻村史郎(金賞推薦者1名)・堤展子・長江重和・中尾恭純・永澤永信・新里明士・橋本昌彦・原憲司・林康夫(金賞推薦者1名)・伯書正一・増田敏也・松本ヒデオ・三輪華子・室伏英治・森正・山野千里・山本出・吉田善彦・和田的(以上、1名)。

上の一覧でも分かる通り、重松あゆみ、加藤委、神農巌・杉浦康益の四名が上位を占めておりましたが、選考委員に候補者の陶歴、推薦理由および作品の写真など資料を付して送りました結果、次の方々が候補者として選ばれました。点数の高い順に示しますと、一協会賞侯補は杉浦康益(12点)、加藤委(12点)、神農巌(10点)、内田鋼一(3点)、重松あゆみ(3点)でした。

この4名の過去4年間の推薦状況を見ますと、加藤氏は前年度まで過去4年間はトップで、重松氏と神農氏が順位を入れ替えながらその後に続いておりました。杉浦氏は平成17年から19年までの3年間はトップで、20年は2位、21年は4位と下がりましたが、過去8年間の有力候補でした。上位3名の推薦理由は右の通り。

杉浦康益氏の推薦理由は、「初期の陶の石からインスタレーションを経て、ここ十年余りの植物誌のシリーズはあまりにも広く知られている。それは同時代の多くの若手陶芸家にも強い影響を与え、一種のブームともいえる増殖的、有機的陶造形を起こしてきた。本人の意図したことではないとはいえ、一種の火付け役になったといっても言い過ぎではない。2013年の個展では、カラフルで小さな動物が加わり、新しい方向性を見せている。これからも進化し続ける作家である。」というものでした。

加藤委氏の推薦理由は、「青白磁の世界に今迄にない造形的表現を持ち込む。国内はおろかアメリカなど海外での評価も高く今後期待される作家」「磁器作家輩出の原動力となった。鋭さおとろえず」「今年の和光ホールの三人展でも磁土のおもしろさ、可能性を存分に発揮」など多数が寄せられました。

神農巌氏の推薦理由は、「日本伝統工芸展を中心にこの数年来、数々の成果を挙げ、今年も充実した個展を開催するなど今後の活躍が大いに期待される。」「青白磁の新機軸」など多数が寄せられました。

上位3名の候補者について選考委員会で協議した結果、12点で同点だった杉浦康益氏と加藤委が平成24年度日本陶磁協会賞に決定しました。

杉浦氏の受賞理由は、2000年代初頭から始まった「陶の博物誌」シリーズなどに対しての評価ですが、杉浦氏はそれだけでなく、10年程前から「ブロック」の仕事が本格化し、野外で作品が展示されるようになりました。これは初期の「陶の石」「陶による岩の群」の延長線にある仕事で、そうした空間を意識した陶芸家としての制作姿勢を高く評価して贈られるものです。

加藤氏の受賞理由は、従来の陶芸の概念には囚われない磁土の魅力を引出し、それを自らの造形表現にまで高めており、その独自な感性から創造される、磁土を荒々しく引き伸ばしたり、鋭いナイフで無造作に切り落としたような面取り作品、その研ぎ澄まされたエッジと水のように澄んだ青白磁の陰影から生まれる張りつめた緊張感の漂う作品は、国内外で高い評価を得ています。そうした磁土の可塑性を生かしたシャープでダイナミックな青白磁作品だけでなく、染付作品や土もの、さらにガラス作品にも挑戦されており、今後の活躍を期待して贈られるものです。

今回、惜しくも選ばれなかった神農巌氏・内田鋼一氏・重松あゆみ氏の3名は、常に協会賞候補の上位に選ばれている作家ですので、今後も有力候補として登場するものと思います。

平成24年度 日本陶磁協会賞 杉浦康益
1949年東京都に生まれる
1975年東京薬術大学大学院美術研究科陶芸専攻修了
1979年「陶による石の群」を発表(銀座かねこ・あーとギャラリー)
1984年神奈川県真鶴町に転居、築窯。
1985年ヘンリー・ムーア大賞展出品。
1990年NHK制作「工房探訪・つくる」出演。
1992年「日本の陶芸「今」百撰展」(パリ三越エトワール・日本橋三越本店)
1994年「国際現代陶芸展-今日のうつわと造形」(愛知県陶磁資料館)
1999年NHK制作「やきもの探訪・思うがままに」出演。
2001年現代陶芸の精鋭121世紀を開くやきものの手法とかたち1展(茨城県立陶芸美術館)
2002年「虚実の果実・陶石の石陶」(INAXタイル博物館・常滑)、「現代陶芸の100年」(岐阜県現代陶芸美術館)
2004年日本橋三越本店にて個展
2005年「陶による大地の恵みを謳う自然の息吹とかたち?杉浦康益展」(神奈川県民ホールギャラリー・横浜)
2006年パラミタ大賞展大賞受賞、「杉浦康益陶の植物園」(菊池寛実記念智美術館・東京)、大地の芸術祭「風のスクリーン」(越後妻有トリエンナーレ)
2007年第14回日本現代芸術振興賞受賞(日本文化芸術財団)、第22回現代日本彫刻展「陶の植物園」(宇部市常盤公園)
2008年西アフリカ研修旅行コートジボワール、マリ共和国、ブルキナファソ(財団法人菊池美術財団海外研修助成事業)、「杉浦康益陶の植物誌」(松坂屋・名古屋)、「杉浦康益の世界陶による我が庭園誌」(日本橋三越本店・東京)
2009年「陶の花たち展」(香美市美術館・高知)、「水と土と芸術祭2009 陶の花の館」(新潟)、「大地の芸術祭風の砦」(越後妻有トリエンナーレ)
2010年「杉浦康益展 陶の停まい」(竹中工務店・東京)、「New Collection 2008」(西宮市大谷記念美術館)
2011年「陶のBotanical Garden」(日本橋高島屋美術画廊X・東京)
2012年「陶の博物誌 西アフリカ迫遥」展(寛土里・東京)、大地の芸術祭「畦の花館」(越後妻有トリエンナーレ)、「東京藝大出身の陶芸家たち」展(菊池寛実記念智美術館・東京)

平成24年度 日本陶磁協会賞 加藤委
1962年多治見市に生まれる
1979年多治見市陶磁器意匠研究所終了
1986年尼ケ根古窯発掘調査参加、同古窯保存運動展開
1996年「現代の陶芸美─凛─」(滋賀県立陶芸の森)、「現代陶芸若き旗手たち」(愛知県陶磁資料館)、「磁器の表現・90年代の展開展」(東京国立近代美術館・工芸館)
1997年「美濃の現代陶芸伝統と創造」(愛知県陶磁資料館)
1998年「陶芸の現在的造形」(リァス・アーク美術館)
2003年「白磁・青磁の世界」(茨城県陶芸美術館)
2004年「ミノ・セラミックス・ナウ2004」(岐阜県現代陶芸美術館)
2006年dailchiarte(NY)にて個展
2007年パラミタ陶芸準大賞受賞
2010年「試みの茶事・北の丸大茶会」(東京国立近代美術館工芸館)
2011年「白磁、青磁の美─伝統と創造」(樂翠亭美術館)
2012年「磁器の表現―青・赤・白―」展(銀座・和光ホール)


金賞候補を推薦の多い順に示しますと、小川待子(9名)、川瀬忍・酒井田柿右衛門・中村錦平(4名)、伊藤慶二(協会賞推薦1名)・中島晴美(以上、3名)、秋山陽・伊勢崎淳・今井政之・篠山忠保・前田昭博(以上、2名)、石原祥嗣(協会賞推薦者1名)・伊藤赤水・隠崎隆一・加藤委(協会推薦者5名)・金重晃介・金重有邦・清水六兵衛・栗木達介・高鶴元・栄木正敏・鈴木五郎・玉置保夫・武腰敏昭・辻村史朗(協会賞推薦1名)・中里隆・林康夫(協会賞推薦1名)・福島善三(協会賞推薦2名)・美崎光邦・三島喜美代・宮永東山・八木明(以上、1名)。

上の一覧の通り、今回は小川待子・川瀬忍・酒井田柿右衛門・中村錦平の順位で推薦は選ばれておりましたが、選考委員に候補者の陶歴、推薦理由および作品の写真など資料を付して送りました結果、金賞候補として次の方々が選ばれました。点数の高い順位に示しますと、川瀬忍(9点)、酒井田柿右衛門(8点)、小川待子(7点)、栗木達介・中村錦平(3点)、秋山陽・伊藤慶二(2点)となります。2011年に開催された「小川待子─生まれたての〈うつわ〉」展(豊田市美術館)以来、小川氏は平成23年、24年と連続して推薦ではトップと、実力と人気を感じます。その次に川瀬忍氏、中村錦平氏が続いています。今回は、酒井田柿右衛門氏が、川瀬忍氏、中村錦平氏と同じ4票を獲得しましたが、選考では川瀬氏・酒井田氏・小川氏と順位が入れ替わりました。上位3名の推薦理由は、次の通りです。

川瀬忍氏の推薦理由は、「智美術館の個展での青磁の集大成と今年の粉引で新境地を拓いた表現力は素晴らしい」「昨年の智美術館での展覧会、東洋陶磁の歴史を背負いつつ、現代の表現にこだわる活動。日本陶磁協会賞の金賞はこの作家をおいて他にはないと考えます」など多数が寄せられました。

酒井田柿右衛門氏の推薦理由は、「伝統工芸系の作家で円熟した陶技を体得する数少ない存在」「十四代を襲名されて30年が経った」などいくつか寄せられましたが、氏は2001年に重要無形文化財「色絵磁器」保持者に認定された他、広く後進の育成にも力を入れられ、1999年から九州産業大学大学院研究科特任教授、2006年からは客員教授、2001年から佐賀県有田窯業大学校校長を務める傍ら、特別講師をも兼任されています。

小川待子氏の推薦理由は、「2008年第58回芸術選奨文部科学大臣賞受賞、2011年愛知県豊田市美術館「生まれたての〈うつわ〉展」等々、現代陶芸の分野での活動にめざましいものがある」など多数が寄せられました。因みに、中村錦平氏の推薦理由は、「この人の存在を忘れては今後の日本陶芸はない。受賞で金賞の重みが増すだろう」「長年にわたる独自の造形活動に対するもの」などでした。

上位3名について、選考委員会にて協議の結果、いろいろ意見が出されましたが、今回は該当者なしということになりました。今回、賞の選考委員は、赤沼多佳、梅澤信子、唐澤昌宏、合田耕平、後藤康雄、戸田博、中ノ堂一信、根津公一、宮島格三、森孝一の10名でした。推薦者は今井政之、石崎泰之、乾由明、井上隆生、上西節雄、内田篤呉、梅田稔、榎本徹、小野公久、加藤清之、川上智子、岸桂子、黒田耕治、桑山俊道、纐纈幾世、小西哲哉、下村朝香、正村美里、自田豊、杉山道夫、鈴木藏、鈴田由紀夫、大長智弘、竹田博志、藤間寛、外舘和子、中島宏、橋本龍史、花里麻理、林屋晴三、福島建治、鈎真一、三浦努、目黒伸良、安田尚史、柳原睦夫、山中英之、横堀聡、吉沢敬子、渡部誠一、以上、40名。

なお、日本陶磁協会賞受賞記念「加藤委・杉浦康益展」は10月28日(月)から11月2日(土)まで日本橋・壺中居にて開催、授賞式は10月28日(月)午後4時から、壼中居会場にて開かれる予定です。